「職業訓練では何を学ぶの?」
「パソコンや簿記などの勉強をするところ?」
「資格を取るための学校なの?」
職業訓練に興味はあっても、実際に何をするところなのか分からない方もいるのではないでしょうか。
職業訓練では、WordやExcel、簿記、Web、IT、介護など、選んだ訓練科に応じて仕事に必要な知識や技能を学びます。
しかし、職業訓練はスキルを身につけることだけを目的とした学校ではありません。
大前提にあるのは、早期就職を目指すことです。
そのため職業訓練では、大きく分けて次の2つを学びます。
① 希望する仕事に必要な知識や技能
② 就職活動を進めるための知識やノウハウ
つまり、
「仕事に必要なスキルを身につける」+「そのスキルを生かして就職するための準備をする」
のが職業訓練です。
この記事では、職業訓練では具体的に何を学ぶのか、仕事のスキルと就職活動の両面から紹介します。
そもそも職業訓練は「就職するため」の訓練です

職業訓練は、興味のあることを自由に勉強するためのスクールとは目的が異なります。
ハロートレーニング(公的職業訓練)は、希望する仕事に就くために必要となる職業スキルや知識を習得するための制度です。離職者訓練・求職者支援訓練についても、再就職の実現に必要な訓練として位置づけられています。
そのため、
「パソコンを勉強してみたい」
「Webデザインに興味がある」
「簿記の資格を取りたい」
ということだけではなく、
「その知識や技能を身につけて、どのような仕事に就きたいのか」
まで考えることが大切です。
職業訓練は学ぶこと自体がゴールではありません。
学んだことを就職につなげることが目的です。
職業訓練では「仕事のスキル」と「就活」の両方を学ぶ

「職業訓練では何を学ぶ?」という疑問に対する答えは、大きく2つに分けられます。
| 学ぶこと | 内容 |
|---|---|
| 仕事のスキル | 希望する仕事に必要な知識・技能を身につける |
| 就職活動 | 求人探し、応募書類、面接など就職活動に必要なことを学ぶ |
どちらか一方だけではありません。
例えばWordやExcelを使えるようになっても、求人を探したり、自分の経験や身につけたスキルを応募先へ伝えたりしなければ、就職にはつながりません。
反対に、応募書類や面接について学んでも、希望する仕事に必要なスキルが不足していれば、応募できる仕事の選択肢が限られることがあります。
そこで職業訓練では、スキルを身につけながら就職活動も進めていきます。
就職活動では何を学ぶ?

職業訓練では、仕事に必要な知識や技能を身につけるだけでなく、就職するために必要な準備や就職活動の進め方についても学びます。
自分の経験や強みを整理するところから、求人の探し方、応募書類の作成、面接への備えまで、就職活動にはさまざまな準備が必要です。
ここからは、職業訓練で学ぶ就職活動の内容について、具体的に見ていきましょう。
自分の経験や強みを整理する
就職活動を始めると、
「自分には何ができるのだろう?」
「今までの仕事で身につけたことは何だろう?」
と考える場面があります。
これまでの職歴や経験を振り返り、自分ができること、得意なこと、仕事で大切にしたいことなどを整理します。
新しく訓練で身につけたスキルだけでなく、これまで働いてきた経験も自分の強みになることがあります。
どのような仕事を目指すのか考える
職業訓練を受けたからといって、必ず一つの職種だけを目指さなければならないわけではありません。
これまでの経験と訓練で身につけたスキルを組み合わせながら、
「どんな仕事なら経験を生かせる?」
「どんな働き方をしたい?」
「今の自分なら、どんな求人に応募できる?」
と考えていきます。
職業訓練は、自分のこれからの働き方を考える期間にもなります。
求人の探し方や見方を学ぶ
求人票には、仕事内容だけでなく、
- 雇用形態
- 就業時間
- 休日
- 賃金
- 必要な経験
- 必要な資格
- 必要なパソコンスキル
など、さまざまな情報が書かれています。
単に「条件が良さそう」というだけで判断するのではなく、仕事内容や応募条件を確認し、自分に合っているか考えることも大切です。
ハローワークでは職業相談を通じて希望に合った求人を一緒に探したり、求人検索のコツについてアドバイスしたりする支援も行っています。
履歴書・職務経歴書の作り方を学ぶ
就職活動では、履歴書や職務経歴書を提出する機会があります。
ただ経歴を並べるだけではなく、
「これまで何をしてきたのか」
「どのような経験があるのか」
「応募先で何を生かせるのか」
を相手に伝える必要があります。
訓練で新しく身につけたスキルについても、応募する仕事に合わせて伝えていきます。
面接について学ぶ
書類選考を通過すると、面接があります。
面接では、
「なぜこの会社を選んだのか」
「これまでどんな仕事をしてきたのか」
「自分には何ができるのか」
などを自分の言葉で伝える必要があります。
職業訓練では、応募書類だけでなく、面接に向けた準備についても学んでいきます。
キャリアコンサルティングを受ける
訓練ではキャリアコンサルタントとの面談を行います。
これまでの経験を振り返ったり、今後の仕事について考えたりしながら、就職の方向性を整理します。
自分一人で考えていると、「この経験は仕事に生かせない」と思っていたことが、別の仕事では強みになることもあります。
第三者と話すことで、自分では気づかなかった経験や能力を整理できることがあります。
就職活動は訓練が終わってから始めるものではありません
ここは職業訓練を受講するうえで大切なポイントです。
訓練をすべて修了してから就職活動を始めるわけではありません。
訓練期間中から求人を探し、応募書類を作成し、条件に合う求人があれば応募するなど、就職に向けた活動を進めていきます。
職業訓練の目的は早期就職です。
「まず勉強を全部終わらせて、それから仕事を探そう」ではなく、学びながら就職活動も進めるという意識を持つことが大切です。
厚生労働省も、ハロートレーニング受講者にはハローワークと訓練実施機関が積極的な就職支援を行うと案内しています。
仕事のスキルにはどんなものがある?

職業訓練で学ぶ仕事のスキルは、選ぶ訓練科によって大きく異なります。
厚生労働省では、事務系から介護、IT、ものづくりなど多種多様な訓練があると案内しています。離職者向け訓練では情報処理、介護、自動車整備、電気設備などのコース例も示されています。
ここから代表的な分野を見てみましょう。
パソコン・Officeについて学ぶ
事務系の職業訓練では、WordやExcelなどの操作を学ぶことがあります。
例えば、
Word
- ビジネス文書の作成
- 表の作成
- 文書のレイアウト
- 印刷設定
Excel
- 表の作成
- 計算
- 関数
- グラフ
- データの集計
PowerPoint
- プレゼンテーション資料の作成
- 図や画像を使った資料作成
などです。
ただし、ソフトの操作方法を覚えることだけが目的ではありません。
実際の仕事では、
「この資料なら、どう作れば見やすい?」
「このデータなら、どの関数を使えばいい?」
など、自分で考えて操作する力も必要になります。
簿記・経理について学ぶ
事務系の訓練には、簿記や経理を学べるものもあります。
例えば、
- 仕訳
- 帳簿
- 試算表
- 決算
- 損益計算書
- 貸借対照表
などです。
簿記を学ぶことで、経理処理だけでなく、会社のお金がどのように動いているのかを理解する基礎にもなります。
一般事務だけでなく、経理事務などを目指す場合にも役立つ知識です。
WebやITについて学ぶ
Web・IT系の職業訓練では、コースによって、
- HTML・CSS
- WordPress
- Webデザイン
- 画像制作
- プログラミング
- Webライティング
- Webサイト制作
- Webマーケティング
などを学ぶ場合があります。
ただし、「Web系」「IT系」というコース名が同じでも、学ぶ内容は訓練によって大きく違います。
そのため、コース名だけでなくカリキュラムまで確認することが大切です。
介護・ものづくりなどさまざまな分野がある
職業訓練はパソコン系だけではありません。
地域や実施時期によって異なりますが、
- 介護・福祉
- 電気設備
- 機械加工
- CAD
- 建築
- 自動車整備
- 情報処理
など、さまざまな分野があります。厚生労働省が公開している就職事例でも、機械加工、CAD、住宅、電気・通信など幅広い訓練から実際の就職につながった例が紹介されています。
「職業訓練=パソコンを習うところ」ではありません。
自分が目指す仕事に必要な知識や技能を学べる訓練を探すことが重要です。
資格取得を目指せる訓練もある
訓練内容によっては、資格取得を目指すこともできます。
例えば事務・パソコン系なら、
- MOS
- コンピュータサービス技能評価試験
- 日商簿記
- その他のパソコン関連資格
などが考えられます。
ただし、職業訓練=資格を取るための学校ではありません。
資格は、自分が身につけた知識や技能を確認したり、就職活動でスキルを伝えたりする一つの方法です。
資格を取得することそのものをゴールにするのではなく、その知識や技能を仕事で使えるようになることを意識して学ぶことが大切です。
学科だけでなく実技で学ぶことも大切
職業訓練では、説明を聞いて知識を覚えるだけではなく、実際に手を動かして学びます。
パソコンなら実際に文書や表を作る。
Webなら実際にWebページを作る。
簿記なら実際に問題を解く。
繰り返し取り組むことで、知識として「分かる」だけではなく、自分で「できる」状態を目指します。
コミュニケーションやビジネスマナーを学ぶ場合もある
仕事では専門的なスキルだけでなく、人とのコミュニケーションも必要です。
訓練内容によっては、
- ビジネスマナー
- コミュニケーション
- 職場での考え方
- 働くうえで必要となる基礎知識
などを学ぶこともあります。
どのような内容が含まれるかは訓練によって異なるため、募集案内のカリキュラムを確認しましょう。
初心者でも職業訓練を受けられる?

初心者から学べる職業訓練もあります。
ただし、すべての訓練が初心者向けとは限りません。
例えば同じWeb系の訓練でも、
「パソコンの基本操作から始める」
というコースもあれば、
「基本的なパソコン操作ができること」
を前提として授業が進むコースもあります。
申し込む前に、どのレベルから授業が始まるのかを確認しておくことが大切です。
職業訓練ではどのくらいの期間学ぶ?

訓練期間はコースによって異なります。
厚生労働省によると、公共職業訓練の離職者訓練は概ね3か月~2年です。求職者支援訓練についてもコースごとに訓練期間・時間が設定されています。
そのため一般的な習い事のように、「週に1回だけ通って少しずつ覚える」というイメージとは異なる場合があります。
一定期間にわたり授業を受けながら、就職に必要な知識や技能を身につけ、並行して就職活動を進めていきます。
職業訓練は「何を学べるか」だけで選ばない

職業訓練を探していると、
「WordとExcelが学べる」
「簿記が学べる」
「Webデザインが学べる」
「資格を目指せる」
といった学習内容に目が行きやすくなります。
もちろん、何を学べるのかは重要です。
しかし、もう一つ確認してほしいのが、「その訓練は、どのような仕事への就職を目指しているのか」ということです。
例えば同じパソコン系でも、一般事務を目指すのか、経理事務を目指すのか、Web関連の仕事を目指すのかによって、必要になるスキルは違います。
職業訓練は、「何を勉強したいか」だけではなく、「その先にどんな仕事を目指したいか」から考えて選ぶことも大切です。
気になる職業訓練を見つけたらカリキュラムを確認しよう

興味のある訓練を見つけたら、訓練科名だけで判断せず、募集案内を確認してみましょう。
特に、
- 訓練目標
- 就職を想定している職種
- 学科で学ぶ内容
- 実技で学ぶ内容
- 訓練期間・時間
- 取得を目指せる資格
- 受講対象者
- 自己負担となる費用
- 就職支援の内容
などを確認しておくとよいでしょう。
山形県内の職業訓練については、山形労働局でも募集コースなどが案内されています。
よつばIoTカレッジの職業訓練では

よつばIoTカレッジでも、求職者の方を対象とした職業訓練を実施しています。
開講する訓練科によって内容は異なりますが、これまでの訓練では、
- Word
- Excel
- 簿記
- WordPress
- Webライティング
- 画像制作
- 動画編集
- Canva
- 生成AI
など、さまざまな内容を扱ってきました。
ただ操作方法を覚えるだけではなく、実際に手を動かしながら、仕事でどのように使うのかを意識して学ぶことも大切にしています。
そして、職業訓練ですから授業だけを行っているわけではありません。
就職支援やキャリアコンサルティングなども行い、訓練で学んだことを就職につなげることを目指します。
なお、訓練科によってカリキュラムは異なります。
すべての訓練で上記の内容を学ぶわけではありませんので、募集中の職業訓練がある場合は、それぞれの募集案内をご確認ください。
訓練で覚えたことは就職してからも使い続ける

数か月の職業訓練を受けたからといって、その後ずっとすべての操作を覚えていられるとは限りません。
例えばExcelを訓練中に何度も使っていても、就職後にまったく使わなければ、少しずつ忘れてしまうことがあります。
反対に、訓練で学んだことを仕事で繰り返し使えば、知識や操作は少しずつ定着していきます。
職業訓練で大切なのは、すべてを暗記することだけではありません。
「こういうことができる」
「分からなくなったら、どこを確認すればいい」
「必要なことを自分で調べながら進められる」
という力を身につけておくことも、その後の仕事に役立ちます。
まとめ|職業訓練で学ぶのは「仕事」と「就職」のためのこと

「職業訓練では何を学ぶ?」と聞かれたら、答えは単に「パソコン」「簿記」「Web」ではありません。
大きく分けると、
仕事に必要な知識・技能を学ぶこと
そして、
就職活動を進めるための知識・ノウハウを学ぶこと
の2つがあります。
職業訓練の大前提は、早期就職を目指すことです。
資格を取得することも、パソコンが使えるようになることも、新しい専門知識を覚えることも、それ自体が最終的なゴールではありません。
「何を学ぶか」
↓
「何ができるようになるか」
↓
「それをどのような仕事に生かすか」
までつなげて考えることが大切です。
職業訓練を探している方は、「何が学べるか」だけでなく、その訓練を受けた先にどのような仕事を目指すのかも考えながら、自分に合った訓練を探してみましょう。
